Movies,Musics,and More

気の向くままに、現在と過去のcultureについて綴ります。どうぞ、お気楽にお付き合いください。

「ありがとう、トニ・エルドマン」

時期的に仕事が忙しくて、

あいかわらずの週休1日体制。


でも、映画だけは観ています(当たり外れあり)

 

 

今回ご紹介するのは「ありがとう、トニ・エルドマン」という作品。


これは大変良い映画でした。
シリアスな部分のあるコメディといった感じでしょうか。

面白かったです!

 

 

内容は、

キャリア・ウーマンとして外国で働く娘のところへ、

既に現役を引退している父親が、

突然現れてくだらないイタズラを仕掛ける。
娘はそんな父を、なんとか受け入れようとするのだけれど…というもの。

 

父は娘を心配してやっているわけですが、

娘はコンサル会社の最前線で働いていて、

折しも大規模なリストラを含む改善案の提案中。


そんな相手と仕事の打ち合わせをしている現場に、

ボサボサのカツラに変な入れ歯、しかも熊みたいな大男

(父親扮するその架空のキャラクターが「トニ・エルドマン」)

が現れたりするものだから、

もちろん混乱します。

仕事にミスも出てくる。

 

 

ドイツ映画なんですが、主人公の女性が◎です。


ゲルマン顔で、ちょっと見は怖いのだけど、その鎧の下に柔軟なものが弾んでる。

 


そして、オシャレ。
プレゼンや公式のパーティ、友人との夜遊び、自分の部屋。
その時々に着ている服のデザインや色。履いている靴。
どれもセンスが良く、うっとりさせられます。


大人の女性なのですよー

 

 

男はいないのかなと思っていたら、

チャラい感じの同僚が彼氏らしい。
飲んだあと予約したホテルに行くシーンもあります。

が、既に関係が倦怠気味なのか、

服も脱がずに相手を挑発し翻弄してみせる。


気持ちの上で、男への「依存」が見られない。

惹きつけられても寄りかからず、背筋が伸びている。
カッコ良いです。

 

で、そういうちょっとハードな自立女性の映画なのかと思っていたら、

上司や仲間、部下を招い自分の誕生パーティで、

思わぬ流れで裸になってしまう。


そして、その流れを変えることができないまま、

全裸で同僚や上司と対応することになる。

 


そんなコミカルな設定の中で、

彼女の気持ち、

仕事や人生への意欲

迷いやいら立ち、

そして切羽詰まった末の開き直りが伝わってくる。

 

この映画、「無言の長い間」が大変活きているんです。

 

場違いにムリやり絡んでくる、性格のまるで違う父。

いたわりやすれ違いといった親娘の感情のやりとり

それを、じっくりと味あわせてくれます。


主演の二人は、舞台俳優出身とのこと。

脚本と監督は、主人公と同年輩の女性です。


仕事関係の男どもの扱いに、辛辣な女性の視線を感じます。

 

 

そして最後に、

父と娘がお互いを受け入れるシーンは

ちょっとたまらない。

 

黙って深く息を吸いたくなります。


2時間半を超える映画ですが、もう一度観るつもりです。

 

 

最後にどうでもいいことを。


「トニ・エルドマン」の姿を見て、私は

「あっ、ニールヤング!」と思ってしまいました。


昔「クリープショー」という恐怖映画に、

原作者のスチーブンキングが「間抜けな農夫の役」で出ていた時も

「ニールヤング!」と思いました。


ホントにどうでもいいですね(笑)

 


一応画像を貼っておきます(笑)

 

ちなみにこの映画、

ハリウッドでジャック・ニコルソン主演でリメイクの予定とのことです。