『夏休み』を自由研究
お盆の間、
妻の実家に行ってました。
田舎
「街」に出るバスもない。
「街」に出ても映画館もない。
何もやることがないので
今年廃校になった近くの小学校を散歩
もうすぐ取り壊されます。
歩きながら、
私も自分の記憶を探ります。
昼休みの校庭のブランコ、好きだったな。
よみがえる記憶
ねむっていた記憶
「あ、ここだわ」
よく「夢」にでてくる場所、
それを見つけたと
妻は言っていました。
で、
あいかわらずトートツですが
夏休みの課題図書というか、
夏にふさわしい推薦図書をご紹介します。
『光車よ、まわれ!』(73年)
※ 表紙と中の挿絵は司修の銅版画。
外箱の裏には「あらすじ」が(拡大してご覧下さい)
「ちくま少年文学館」の一冊
作者の天沢退二郎は、
「詩人」そして「宮沢賢治研究者」としても著名な仏文学者。
内容は、黒い水の世界からの侵略に対して、
小学生たちが三つの「光車」を集めることで対抗していく物語。
ひとがたぶん幼児期から
心の奥に抱えてしまう、
「根源的な恐怖」
それに、素手でふれてくるような
ダークファンタジーです。
※ 見返しには、少年たちが活躍する
街の「地図」が
この本が出たのは、私が浪人のころですが、
その当時小学校の図書館で借りて読み、
「トラウマ」になってしまったひとも
多いらしい。
身内のひとが急にいなくなったり、
人が死んだことを知らされたり、
暗い、怖い、
そして希望はあっても、
明確な救いや解決というものがない。
だけど、
読んでいるときの「ドキドキ感」は
ハンパではない!
文庫にもなっているので、
旅行鞄に放り込み
実家のヒンヤリとした廊下や
畳に寝転んで読めば
蝉の声とともに思い出す、
忘れられない夏になるはず。
※こちらは、かつての「ちくま」のシリーズを手本にしたと思われる「講談社」のシリーズ。
小野不由美「くらのかみ」(03年)は、
父の思惑どおり
夜寝床で寝る前に
読み聞かせてやった息子と娘の
「トラウマ」になってくれたようです。
もし「光車…」が気に入ったら、
「オレンジ党」シリーズもどうぞ。
そして、別役実の童話も強力に推薦。
※ 「コンセブリ島の魔法使い」(81年)
絵はスズキコージ。
私見ですが、「コンセブリ島」の地下世界は、村上春樹「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」(85年)の地下世界に影響を与えたのではと思っています。
ひとの意識の底に広がる地下世界。
その暗闇に潜んでいる
恐ろしいものは、
別役は「ウスラシロ」、
村上は「やみくろ」。
「怖さ」も、
故郷が抱えている
「豊かさ」のひとつなのではないか
そんな気がするのです。
ではまた。