『家庭内映画祭』で観た映画4(いちおう駆け足)
さあ、駆け足で書かせてもらいます!
「ディストラクションベイビーズ」
これは、やはり柳楽優弥の為だけにあるような作品でした(2016)
親を早くに亡くした兄弟。兄は街で、ヤクザっぽい男には相手構わず、いきなり殴りかかるという、凶暴な野良犬のような生活。何が彼を駆り立てているのかはわからない。ハンパな不良高校生が彼に興味を持ち、行動を共にする。やがて車を盗み、車にいた水商売の女を道連れに、暴力行脚に出発する。
「誰も知らない」(2004)で、14歳で現れた柳楽優弥という特殊な役者。
息を飲むような、というか、真空の地を歩くような演技で、
同年のカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞。
その後は、なにか中途半端な活動しか記憶にありません。
この作品では、彼の凍えるような「壊れっぷり!」を正面から観せてくれる。
ただ、良くも悪くもそれだけ。
そしてこの袋小路からは、結局誰も出られない。
いや、柳楽優弥は、ようやく首を抜き出すことができたかもしれません。
もしそうなら、よかったと思います。
菅田将暉も、調子に乗った不良の役で出ていますが、
それはプラスにもマイナスにもなっていない気がしました。
「空気人形」
「誰も知らない」の是枝裕和監督が、違う作風を見せてくれた作品(2009)
独身男の持つダッチワイフが魂を持つというファンタジーで、
業田良家の漫画の映画化。
手塚の「やけっぱちのマリア」も同じアイディアでしたね。
生まれたばかりの孤独な「空気人形」を、
脆い壊れものようにじっと見つめ続ける。
オタク的な感性を隠そうともしない是枝監督に、
私は好感を持ってしまいました。
ああ、ぺ・ドゥナの「私の少女」(2014)が観たい!
※どうですか、この写真!
けれど、これもAmazonにはありませんでした(泣)
「あん」
東京オリンピックの公式映画監督にもなった河瀬直美氏の作品(2015)
小さなどら焼き屋に、働きたいと来た片手が不自由な老女。店主は断ったが、老女が持ってきた餡を食べて美味しさに驚愕、雇うことにする。店は繁盛し出すが、老女がハンセン氏病の施設に住んでいることが知られ、客が来なくなり、老女も身を引く。時が経って、店主は常連だった女生徒と共に、施設に老女を訪ねる。
樹木希林さんが亡くなる前、息の長いブームがあり、
これは最晩年、ブームのピークのころ公開されました。
とても丁寧に作られた作品で、もちろん悪くありませんでした。
けれど、姿勢を正して見ることを迫られる、
なにかそんな気はいたしました。
「永い言い訳」
これも女性監督の作品(2016)
流行作家の主人公。不遇時代を支えた美容師の妻とは関係が冷えており不倫。親友とスキー旅行に行った妻が、バスの転落事故で亡くなる。妻の親友の夫、トラック運転手の男とバス会社抗議の場で初めて合い、自分は自由業で子供もいないことから、彼の子供たちの面倒を見ることになる。他人の家の中に入り、子供を世話をするという新しい生活の中で、亡くした妻との関係を見つめなおして行く。
先に、西川美和監督自身が書いた小説を読み、とても良かったです。
小説は、直木賞など複数の賞の候補にもなりました。
原作も良かったけれど、映画も大変チャーミングでした。
こちらの心に距離を保ちながら触れてくる、その手つきが、
生真面目でなく、無粋でもなく、柔らかくて良いのですね。
「海炭市叙景」「オーバーフェンス」
「そこのみにて光輝く」(2013)「きみの鳥は歌える」(2018)と同じく,
故佐藤泰志氏の小説の映画化。
※生前は不遇であり、41歳で自死されたとは言え、
この本にある「死んで花見が咲いた人」とは、
余程の愛情なくしては言えない言葉だと思います。
「海炭市叙景」(2010)「オーバーフェンス」(2016)
前者は18編からなる短編小説が原作のオムニバス。
後者は離婚して故郷に帰り、職業訓練校に通う男と、
傷つきやすく、つい奇矯な行動をとってしまう若い女との
恋愛を描いています。
これまで映画化された4作品は、すべて函館市を舞台にした
吹き寄せられたような生活を送る人たちの話。
どれも何度でも見直したくなる作品です。
台湾に行きたくて堪らなくなるように、
私は今、函館に行きたくて堪りません。
※「海炭市叙景」には、「長い言い訳」でトラック運転手を好演した
竹原ピストルが、ふたりきりの兄妹の兄で出演しています。
そういえば、この人も越境役者ですね。
ああ、これでも駆け足か!
次で最後にします。
「映画祭5」に続きます。
『家庭内映画祭』で観た映画3(役者の話を中心に)
さて続きです。
何しろ25本なので、
なかなか書き終わりませんが(笑)
よろしくお付き合いをお願いいたします。
まずはこれ
「海月姫」
実はこの作品(2014)、
『女装で出てくる、名前は読めない役者さんがね、
とにかくすごいの!絶対見た方がいいよ!』
と、娘から聞かされ、以来ずっと見たかったのです。
(娘、朝ドラの「ごちそうさん」で菅田を見ていたはずですが、
気づいていない)
それをようやく見られました。
クラゲオタクの主人公が暮らすのは、オタク女子だけが住む共同アパート。しかしそのアパートの立ち退き危機が発生。その時現れたのは美しすぎる女装男子。 アパートを守るため、彼の指揮により無気力だったオタク女子が立ち上がる。というお話です。
菅田は女装にあたり、体重を落とし、骨格矯正までして役に挑んだとか。
「あゝ、荒野」(2017)では、ボクシング指導した方が、
「ブロ試験に受かるレベル」と言ったそうです。
役に立ち向かう菅田の姿勢は、5年前から全く変わりがない。
こうなったら(笑)
菅田自身が「転機となった」と言い、さらに新人賞も得た
初主演作「共食い」(2013)を観ないわけにはいきません。
でも残念!Amazonには有料も含めてないのでした。
それにしても、ジュノンボーイとしてデビューした彼がなぜ
「人でなしの父を持ち、自分に流れるその血を呪う」という、
こういう凄惨な映画の主演に選ばれたのか、
興味のあるところです。
そういえば、「そこのみで光輝く」(2013)で
社会の底辺に住むヒロインを演じて見せた池脇千鶴が
1年後のこの作品では、
アフロヘアで鼻まで顔を隠したオタクを演じています。
今の役者さんって、演じる役の幅が本当に広いですね。
「ホットロード」
続けて、能年玲奈!(2014)
彼女の映画主演作は、(アニメを除いて)実にこの二本のみです(涙)
二人暮らしの母は男に夢中、自分も学校に馴染めない孤独な中学生の少女。やはり周囲から浮いていた同級生に誘われて暴走族の集まりへ。そこで知り合った不良と引かれ合い、次第に心を開き合うようになる。しかし彼は暴走族のリーダーとなり、他チームとの争いに巻き込まれて行く。というお話。
この作品は少女漫画の映画化ですが、
当時の読者にとってあまりに「特別」な作品で、
ファンの思い入れが強すぎて実写映画化できなかったとか。
作者による能年の主役指名でようやく制作に漕ぎ着けたとのこと。
はい。まさにそういう作品でした。
まだ中学生の少女の中にゆれる壊れそうな心、
それにずっと寄り添って見終わる。
還暦の男があれこれ感想を言うのはやめておきます。
ただ…、もっと能年玲奈をスクリーンで観たい!
それだけ言っておきます。
「凶悪」
雑誌の編集部に死刑囚から手紙が届き、刑務所へ話を聞きにいくと、複数の隠された殺人事件の告発だった。調べるうちに男の話の信憑性が高まっていく。そして全ての事件の裏には、「先生」と呼ばれる実業家の存在があった。記者は上司の反対を押し切り、粘り強く真実を暴いていく。原作は事件を元にしたノンフィクション。(2013)
主演は、山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、この三人。
山田孝之を初めて見たのは、NHKの「六番目の小夜子」(2000)でした。
クールで二枚目の子役さんで、まさかこんな風になるとは!
役者としてのピエール瀧を見たのは、「百万円と苦虫女」(2008)
奥手で無口な桃農家の跡取り息子の役で、大変よろしかった。
リリーフランキーは「ぐるりのこと」(2008)
うまくはないけれど、なんとも自然体で、これも大変よろしかった。
ピエール(電気グルーブ)とリリー(イラストレーション)
このふたりは異分野から来た人ですから、
今までにない空気を感じて、強く印象に残りました。
※話がズレて申し訳ありませんが、
もう一人、異分野からの越境役者で
ズバ抜けた人を挙げるとすると、
浜野謙太(在日ファンク)でしょうね。
「婚前特急」(2011)を観て、のけぞりました!
この三人に共通していたのは、
不思議と肩の力が抜けて、生き生きとしていて、
関係性の磁力から、解き放たれているかに見えること。
一口で言えば「いい加減さ」です。
話を戻します。
で、この作品では
山田孝之は、ハズレなく堅実なボルテージを維持。
ピエールとリリーは、その枠を外れた人非人ぶりを
評価する映画評が多かったように思います。
ええ、わかります。
けれど私には、少し演技が「大仰」と見えてしまうところがあり、
内容的にも、残酷描写や性描写がクドイと感じました。
観終わっても、事件自体が持つ残酷さのエキスが、
結局あまり胸に落ちて来ませんでした。
まあ、昔読んだ原作のノンフィクション「凶悪ーある死刑囚の告発」
その初読の印象が、あまりに強烈すぎたのですが。
だめですね。
このペースでは25作品書き終わりません。
次からはピッチを上げていきます。
「映画祭4」に続きます。
『家庭内映画祭』で観た映画2(菅田将暉を中心に)
さあ、ここからは、
菅田将暉の映画を連続して観ました。
私がなぜこんなに菅田将暉に惹かれてしまうのか。
答えはすぐには見つかりません。
とりあえず映画の感想を書かせてもらいます。
「セトウツミ」
まずはこれ
大阪の高校生の、ゆるいダラダラとした会話。
それだけをつなげた映画です(2016)
うーん、どうなんでしょう。
まあ、なかなか面白くはありました。
下校後の、夕暮れ近い河原の石段に
所在なく座る高校生ふたり。
菅田の、細く勢いのある身体つきや、ヤンキーっぽい表情から、
何気なく発散される若い色気のようなものがあり
ハッとする瞬間もありました。
けれど途中で「もう観るのやめようかな」と
正直何度か思いましたね(笑)
映画館ではなく、家庭内観賞だったのもので。
まあ、これはこれでいいとは思いますが。
それと、相手の高校生役が
前回書いた「愛の渦」(2014)で門脇麦の相手役だった
池松壮亮だというのが、
「暗さ」がメジャー化したとでもいうような
時の流れを感じました。
「帝一の國」
「メジャー化」といえば、まさにこれ(2019)でしょう。
徹底してコテコテに作り込んだ菅田が観られました。
主人公帝一は「総理大臣になり自分の国を作る」という野望のため、日本一の超名門海帝高校の生徒会長になることを決心。その目的達成へ向けた様々な工作、足の引っ張り合いなどが、集団活劇として描かれます。
「力強く」とまではいかないのですが、
物語はストレートに、前へ前へとグングン進んでいきます。
その迷いない勢いがこの映画の良さと感じました。
最後までノンストップで面白く見せてくれます。
けれどその手柄は、原作漫画にあるのではないか。
私の嗅覚が、「原作はもっと面白いはず」と訴えてきます。
それを十二分に味わう、その幸福を得るために
十数巻あるという原作を、誰にも邪魔されず
嫁の実家の二階に寝転んで、時を忘れて読み耽りたい!
https://pingpongplanet.hatenablog.com/entry/2018/08/20/074632
というわけで、この作品、映画ならではというところは少ないのですが、
それでも、原作の魅力を2時間の映画にまとめた手腕は
やはり褒められるべきだとも思います。
お客さんはみな「面白かった!」と劇場を後にしたことでしょう。
さて、「菅田将暉の映画が見たい!」という
私の「菅田将暉欲」は
残念ながらこの映画ではあまり満たされませんでした。
ただ、エンドロールで流れる
ギターを持ったダンスがもうかわいくて!
映画の最後に私は胸がきゅんといたしました。
なんかズルイですよね。
「あゝ、荒野」前編、後編
さあ、今度こそ!
濃ゆい菅田将暉が見たい!!
で、この映画です(2017)
菅田将暉と
「息もできない」のヤン・イクチュンが主演。
これでは期待するなと言う方がむり。
何しろ
「ボクシング映画にハズレ無し」
それが、私の持論なので。
そして原作はそう、寺山修司。
けれどもです、この作品はちょっと長すぎました。
前後編を合わせて5時間強です。
そして時代設定がなぜか、徴兵制施行が囁かれる近未来だったり、
主役のふたり以外の「自殺研究会」のエピソードなどがあったりと、
メインのボクシングのストーリーの流れを邪魔してしまう。
一方、ボクシング部分は非常に面白く、菅田のトレーニングの動きなど
しっかりとボクサーの動きになっていて、惚れ惚れしましたし、
ふたりが実力をつけ、ランキングを上げていく試合シーンなども、
大変説得力がありました。
特に、自分を軽んじた相手や、過去に恨みを持った相手と戦う菅田の試合。
「ボクシングが上手いのと、ボクシングが強いのとは、別の問題」
ということ。
そして、殴り合うボクサーの肉体の奥にある「魂」とでも呼ぶべきもの。
それを良く感じさせてくれました。
ところがです、クライマックスの、主人公ふたりの最後の試合、
これがどうにもダメなのでした。
血みどろ、汗みどろの男の戦いではあっても、
ただの殴り合いは
ボクシングではありません!
内に秘めた「思いの強さ」とは別に、
肉体への決定的な「一打」が、勝負を決してしまう。
それがボクシングというスポーツです。
それまでの長い時間とは違う、3分という特殊な時間の中、
時には1ラウンドであっさりと幕が下りる。
何百という打撃の中で、ただその「一打」を、
いかに相手の急所に打ち込むかが問題なのです。
この映画のラストで、主人公たちは
永遠とも感じられる時の中で
「決定打」を相手の身体にあてまくり、
「決定打」を全身に受けまくります。
それはボクシングではない。
打つほどに「決定打」はディスカウントされ、
空虚化して肉感を離れてゆく。
そしてリングの上で、
そんな試合を止めることもなく
闘う者たちが死んでゆくのを
みすみす指をくわえて見ているような、
そんなレフェリーはおりません。
※私が観た、選手が意識を失った試合。ボクシングは「命のやりとり」です。どれだけ注意を払ったとしても。(この選手は幸い大事には至りませんでした)
戦いの迫力を無理に出そうとして、
リングのリアル、緊張感を手放してしまった。
最後に盛り上がらずに観賞を終えたのでした。
ちなみに、ヤン・イクチュン、
「息もつけない」とは全く違う役柄で
いい味を出していました。
これは良い映画でした。(2013)
「きみの鳥はうたえる」(2018)
https://pingpongplanet.hatenablog.com/entry/2018/09/11/011016
に先んじて制作された、同じく故佐藤泰志氏の小説の映画化です。
主演の綾野剛と池脇千鶴、そして最高の「弟キャラ」を見せる菅田将暉
ある事故をきっかけに心に傷を負い、仕事をやめた男。パチンコ屋で人なっこい青年と知り合い、やがて青年の姉とお互いに引かれ合う仲となる。だが病気の父がいる貧しい家庭や犯罪歴、そして妻子あるパトロンの存在など、複雑な事情が希望を持つことを許さない。そんな中、未来に踏み出そうと足掻く三人の姿が描かれる。
重い映画なのですが、登場人物もそして観客も
菅田の無垢なほどの「あっけんからん」としたキャラクターに救われます。
先のことは考えず、適当で、馬鹿みたいで、損得の埒外に立っている。
だから傷ついた人の心の中にも、スッと入り込んでしまう。
けれどその心の奥に、繊細な、「臆病なこども」が住んでいる。
バカ笑いしながら、みんなに甘えながら、
「臆病なこども」は常にまわりを観察して、笑顔で周りを気遣っている。
まわりの環境の、バランスが崩れてしまうことを恐れながら。
嫌なことも、笑って目をそらし
知らんふりして、諦めて、
けれど、握り締めていた小さな望みを
守ることが叶わないと分かると
突然全部投げ出してぶち切れる。
たまらないです。
実に7年前の作品なのですが、
私の観た菅田将暉出演作品の中のベストです。
※ちなみに、無気力に老いさらばえた母親役は、
なんと伊佐山ひろ子(@にっかつ)
寝たきりだが欲だけは強い父親役は、なんと田村泰二郎 (@状況劇場)
エンドロールを見るまで、まったく気がつきませんでした!
「映画祭3」に続きます
『家庭内映画祭』で観た映画1(まずはHな映画から)
と言うわけで
猿と化して観た映画について
備忘録がわりに書いておきます。
少し読みにくい
雑然とした記事になることをお許しください。
まずは最初に観たのはHな映画。
どんな分野においても「H」というのは、
人が行動を促す大きな原動力なのですね(笑)
「ニンフォマニアック」vol1、vol2
これは実は映画館でも観ました(2013)が、今回再見。
ヨーロッパの文学によくある、女性の性遍歴を哲学的に考察した作品。
高齢の読書家の男が、路地で倒れていた女をひろい、彼女の「色情狂」的な
半生を聞くという話。
※ちょっとお堅い月刊紙「ユリイカ」の特集号まで出ています。
と言っても、決して小難しいわけではありません。
「スケベな心」だけでも十分観られます。そして
観ている者の性的な「枠組」とか「軸」といったものを、
ガクガクと揺すぶられる快感がありました。
けれど何よりも
主人公を年代別に演じる女優さん
(美女。モデルさんでもあります)と
(ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールの娘さん
ですが、なんともうアラ50なのですね)
このふたりの女優の魅力的な姿を、
物語が終わるまでずうーっと見ていられる、
それは映画の快感ですね。
そして、これからだって何度も見直したい。
いや、どうせだったら、
1時間長くてボカシの無い「ディレクターズカット版」DVDで見たい!
ところがです、今のところ手に入るのは、
字幕のない「輸入版」だけなのでした。残念。
「娼年」
さて今度は和物です。
こちらは、舞台版がその大胆さで話題となり、
同じ松坂桃李主演で映画化(2017)されたもの。
生きる目的を失っていた大学生が、会員制の女性向け娼夫となり
その中で様々な女性会う中で、性の素晴らしさに目覚めていくという内容。
これは大変に納得のいくいやらしさでした。
女性の視点から、
性の欲望とその放熱
を描いているのがポイントだと思います。
狩猟本能主体の男性向けポルノより、
こちらの方が断然いやらしくて
私は好きです(笑)
「愛の渦」
「娼年」が良かったので、同じ三浦大輔監督の作品(2014)を再見。
「着衣時間わずか18分」というキャッチコピーが戦闘的です。
こちらもポツドールの舞台の映画化。
業者が主催する乱行パーティ。そこに集まった男女八人の
マンションの一室での一夜を描きます。
今見返すと、その後売れた役者さんたちがたくさん出ています。
そして何よりも、
「地味でまじめそうな容姿ながら、誰よりも性欲が強い女子大生」
という役を演じた門脇麦!
今回見ると、彼女の役に対する取り組みがキチンと感じられました。
初見では、いやらしさにばかり目が行った自分を強く反省。
ちなみに、彼女がNHKの朝ドラ「まれ」に出演したのはこの翌年です。
さてこれは、パンティをかぶると超人に変身するという
大変バカげた内容の作品(2013、2016)
ポスターの本気度が高くすばらしいですね。
そしてその内容も、手を抜かずきっちりと高レベルに仕上げており、
実に見上げたものです。
そしてヒロインに清水富美加といずれも良い。拍手!!
原作は少年漫画誌に連載されたもので、
ふっくらしたブリーフ越しの股間を悪人の顔に押しつけ
「違う。それは私のおいなりさんだ」
というセリフが私は大好きです。
映画も原作の明るい良さを、キチンと生かしていました。
※さて、ここからはHモノではありません。
「翔んで埼玉」
これも漫画が原作で、興行的にもヒットしました(2019)
東京都が一強体制で関東を支配する架空の日本。都内へ入るには通行手形がいるという被差別状況を変えようと、埼玉県民のリーダーが立ち上がる、それを邪魔するのは都知事におもねる千葉の主導者。といった内容のパロディ偽歴史活劇。病人に「埼玉県民は道端の草でも食っていろ。それで治る」といった言動が飛び交います。
楽しみにしていた作品で、面白く観始めましたが、
正直、途中で少々ダレました。
「被差別」をパロディにして、勢いよくもてあそぶのは良いのですが、
それをテコにした破壊力というのか、そこから突き抜けるものがない。
で、ドラマのベースとなる「場」がいつまでも変わらない。
良くできていますが、結局「お約束」の枠内でお話が進んでしまいます。
評判のGAKUTOも確かに良かったのですが、
私の目が行くのは、やはり二階堂ふみ
最初に彼女を見たのは「熱海の捜査官」(2010)のわがまま女学生
「ヒミズ」(2011)では
同じく「熱海の…」に出ていた染谷将太とともに、
生々しさを感じさせる見事な演技を見せてくれました。
そして今では、どんな役でもこなす女優さんになりましたね。
そしてこの春(2020)は朝ドラの主演と、
本当に目が離せません。
「映画祭2」に続きます
『家庭内映画祭』開催へ
コロナ禍で自宅に引きこもり。
ヨガやボクシングやボイトレ
「習い事」もすべて休止です。
これまでAmazon Primeは、送料無料だけで
特典のVideoの方は、ほとんど利用していませんでした。
けれど大きなスクリーンで映画を見られない現在
改めて作品のラインナップを見てみたところ、
なんとなんと
「ニンフォマニアック」vol1、vol2が無料で見られるのを発見!
こんな作品が見られんだったら
「もしや」
と検索をかけてみたところ
あるわあるわ……嬉しい誤算でした。
あとはもう、急な坂を転げ落ちるように
「家庭内映画祭」を絶賛開催中!
ummmmmm
大きめの画面のMacで見るとなかなか臨場感もあるし、
たとえ途中で中断しても
トイレで、あるいはお風呂で、
そして布団に寝転んで、
どこからでも続きから見られる!
そこで、スクリーンで見損ねてしまった映画の
落穂拾い
こうなると、もう王子は 猿
無料を良いことに
25本も観てしまいました。
うーん
はやく人間になりたーい!
コロナの日々
緊急事態宣言が出たころからですが、
会社と相談して自宅待機
にさせてもらっています。
何しろこちらは、再就職組
そして前期高齢者
感染が恐ろしい。
外出はほとんどしていませんが
念のため、
毎朝夫婦で、体温と血中酸素を計測。
今のところ異常はありません。
私より少し前に、
微熱のため自宅待機を選んだ友人に
メールで様子を聞いてみました。
『その後、悪化はしていないけれど、
高原状態が続いたまま治ることもない。
遅れて同じ状態になった妻と
不安を抱えたまま過ごしている。
先日、予約して「発熱外来」に行った。
担当医が言うには
「症状は、保健所に検査を依頼するレベルではない。
コロナであるかどうかの判断はここではできない。
対処療法としての薬は処方します。
もし、今後体調が大きく変化した場合は、
すぐに電話をください」
朝昼晩と薬を飲んでるけど、
何にも変わらない。
なんかさ、
女房とふたり、
いきなり何もない空き地に出てしまって
立ち尽くしている気分だよ』
同じような状況の方もきっと多いでしょう。
期せずして生まれた「コロナ」休暇。
私たち夫婦も、もう2週間以上家にいます。
ちょうど家のリフォームをしたばかりだったので、
古いものを思い切って処分したり、
家具のレイアウトを変えてみたり、
手付かずで放り出してあった「計画」を、
少しずつ実行したり。
※イエルク・ミュラーの絵本「変わりゆく農村」を飾る
https://pingpongplanet.hatenablog.com/entry/2018/03/09/062615
AmazonPremiumで映画を見たり。
目に見えることのない「コロナ禍」を避け
「家」という、ささやかなシェルターに籠って
時の流れるまま、静かに呼吸していると
自分の内面がゆっくりと
変化しているのを感じます。
そして家の隙間から入りこむ風の匂いに
社会の大きな枠組みが
もう元には戻らない変容を遂げていることも。
今日は、とりあえず、
家にあった小豆を煮て
食べました。
おいしい。
「昭和30年」について(はじめに①)
かなり、久しぶりのブログになります。
新しい店舗を開いての、新装開店です。
お世話になる大家さんを変え、
気持ちも一新、
店の名前も変えております。
少々説明をせてください(その1)
私が生まれた昭和30年は、
日本が敗戦を迎えて、ちょうど10年目の年です。
前年に「ゴジラ」が公開され、
翌年には「もはや『戦後』ではない」と経済白書で宣言されて、
いよいよ高度経済成長が始まることになります。
民放のテレビ局が開局。
ちなみに同年生まれの有名人を挙げると、
なんとなく
イメージをつかんでもらえるのではないでしょうか。
「団塊の世代」と呼ばれる、
終戦のベビーブームに生誕し、
その後長く「戦後文化」を牽引してくれ人たちとは、
明らかに空気感が違います。
物心がついたときには、
お茶の間に当たり前にテレビがあった、
最初の世代なのです。
小さな頃は月刊漫画誌で、
週刊誌全盛期には「おそ松くん」や「オバケのQ太郎」に大はしゃぎ、
「墓場の鬼太郎」「サイボーグ009」で興奮し、
10代も終わりに近く、
高校を卒業した年でさえ、
私も友人たちも、
髭の生え始めた顔をブラウン管に向けて、
「宇宙戦艦ヤマト」を眺めながら
ご飯を食べていたのです。
つまり、
今や世界に広がる「オタク的感性」を、
本国日本において、最初に身に宿した世代
と言えるでしょう。
ちなみに
空気清浄機に「コスモクリーナー」と名付けた
麻原彰晃も同い年です
『「王子」について』につづきます
「王子」について(はじめに②) - 昭和30年生まれ「アングラ王子」のブログ