『家庭内映画祭』で観た映画3(役者の話を中心に)
さて続きです。
何しろ25本なので、
なかなか書き終わりませんが(笑)
よろしくお付き合いをお願いいたします。
まずはこれ
「海月姫」
実はこの作品(2014)、
『女装で出てくる、名前は読めない役者さんがね、
とにかくすごいの!絶対見た方がいいよ!』
と、娘から聞かされ、以来ずっと見たかったのです。
(娘、朝ドラの「ごちそうさん」で菅田を見ていたはずですが、
気づいていない)
それをようやく見られました。
クラゲオタクの主人公が暮らすのは、オタク女子だけが住む共同アパート。しかしそのアパートの立ち退き危機が発生。その時現れたのは美しすぎる女装男子。 アパートを守るため、彼の指揮により無気力だったオタク女子が立ち上がる。というお話です。
菅田は女装にあたり、体重を落とし、骨格矯正までして役に挑んだとか。
「あゝ、荒野」(2017)では、ボクシング指導した方が、
「ブロ試験に受かるレベル」と言ったそうです。
役に立ち向かう菅田の姿勢は、5年前から全く変わりがない。
こうなったら(笑)
菅田自身が「転機となった」と言い、さらに新人賞も得た
初主演作「共食い」(2013)を観ないわけにはいきません。
でも残念!Amazonには有料も含めてないのでした。
それにしても、ジュノンボーイとしてデビューした彼がなぜ
「人でなしの父を持ち、自分に流れるその血を呪う」という、
こういう凄惨な映画の主演に選ばれたのか、
興味のあるところです。
そういえば、「そこのみで光輝く」(2013)で
社会の底辺に住むヒロインを演じて見せた池脇千鶴が
1年後のこの作品では、
アフロヘアで鼻まで顔を隠したオタクを演じています。
今の役者さんって、演じる役の幅が本当に広いですね。
「ホットロード」
続けて、能年玲奈!(2014)
彼女の映画主演作は、(アニメを除いて)実にこの二本のみです(涙)
二人暮らしの母は男に夢中、自分も学校に馴染めない孤独な中学生の少女。やはり周囲から浮いていた同級生に誘われて暴走族の集まりへ。そこで知り合った不良と引かれ合い、次第に心を開き合うようになる。しかし彼は暴走族のリーダーとなり、他チームとの争いに巻き込まれて行く。というお話。
この作品は少女漫画の映画化ですが、
当時の読者にとってあまりに「特別」な作品で、
ファンの思い入れが強すぎて実写映画化できなかったとか。
作者による能年の主役指名でようやく制作に漕ぎ着けたとのこと。
はい。まさにそういう作品でした。
まだ中学生の少女の中にゆれる壊れそうな心、
それにずっと寄り添って見終わる。
還暦の男があれこれ感想を言うのはやめておきます。
ただ…、もっと能年玲奈をスクリーンで観たい!
それだけ言っておきます。
「凶悪」
雑誌の編集部に死刑囚から手紙が届き、刑務所へ話を聞きにいくと、複数の隠された殺人事件の告発だった。調べるうちに男の話の信憑性が高まっていく。そして全ての事件の裏には、「先生」と呼ばれる実業家の存在があった。記者は上司の反対を押し切り、粘り強く真実を暴いていく。原作は事件を元にしたノンフィクション。(2013)
主演は、山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、この三人。
山田孝之を初めて見たのは、NHKの「六番目の小夜子」(2000)でした。
クールで二枚目の子役さんで、まさかこんな風になるとは!
役者としてのピエール瀧を見たのは、「百万円と苦虫女」(2008)
奥手で無口な桃農家の跡取り息子の役で、大変よろしかった。
リリーフランキーは「ぐるりのこと」(2008)
うまくはないけれど、なんとも自然体で、これも大変よろしかった。
ピエール(電気グルーブ)とリリー(イラストレーション)
このふたりは異分野から来た人ですから、
今までにない空気を感じて、強く印象に残りました。
※話がズレて申し訳ありませんが、
もう一人、異分野からの越境役者で
ズバ抜けた人を挙げるとすると、
浜野謙太(在日ファンク)でしょうね。
「婚前特急」(2011)を観て、のけぞりました!
この三人に共通していたのは、
不思議と肩の力が抜けて、生き生きとしていて、
関係性の磁力から、解き放たれているかに見えること。
一口で言えば「いい加減さ」です。
話を戻します。
で、この作品では
山田孝之は、ハズレなく堅実なボルテージを維持。
ピエールとリリーは、その枠を外れた人非人ぶりを
評価する映画評が多かったように思います。
ええ、わかります。
けれど私には、少し演技が「大仰」と見えてしまうところがあり、
内容的にも、残酷描写や性描写がクドイと感じました。
観終わっても、事件自体が持つ残酷さのエキスが、
結局あまり胸に落ちて来ませんでした。
まあ、昔読んだ原作のノンフィクション「凶悪ーある死刑囚の告発」
その初読の印象が、あまりに強烈すぎたのですが。
だめですね。
このペースでは25作品書き終わりません。
次からはピッチを上げていきます。
「映画祭4」に続きます。