Movies,Musics,and More

気の向くままに、現在と過去のcultureについて綴ります。どうぞ、お気楽にお付き合いください。

『きみの鳥はうたえる』

ひさしぶりに映画にやられてしまいました。

 

 

きみの鳥はうたえる

 

 

終わってしまうだろう「若さ」

そのなかにいる

三人のストーリーです。

 

 

いっしょにアパートに暮らしている男ふたり

「フリーター」と「無職」

 

 

フリーターの男は「バイト先の女」と付き合い始め

 

 

女がアパートに遊びにきたのをきっかけに

無職の男もまじえて三人で夜ごと遊びまわる

 

 

ぐすぐずと酒を飲み

クラブで騒ぎ

ビリヤード、卓球、ダーツにと興じる

 

 

心の奥にはそれぞれ

ぬけないトゲみたいに

問題をかかえている

 

直視すれば、重くなってしまうトゲ

 

 

 

あらわにすること厭い

おいつめることを避ける

 

「そんなことをしてもなにも変わらないよ」とうそぶく

 

 

函館の町

お気楽で楽しい夏の生活

終わるのなら終わればいい

ただそれまでは日々を笑ってくらす

 

 

 

さてこの作品、

いい歳した男女が

まともに仕事にもむきあわず

社会的な責任も放棄して

ふらふら遊んでるだけ

 

 

映画としてもこれといったストーリーもない

観終わって

「だから?」

「それがどうした」

そんな反応もあるようです

 

 

でもさ

いいじゃん

こういうの

おぼえがないか

だれしも

そんなもんじゃん

 

あのエンケンも『輪島の瞳』で

 

 

「プロレスはショーで八百長だから なんて偉そうに言うやつに限って

何もわかっていない これからもきっとわからない

だって他人に毎日 ニッコリこんにちわ 

お世話になってます どうかよろしくなんか頭を下げて

毎日八百長ショーのくせに 

毎日八百長のくせに

他人の八百長を けなすやつなんか俺は信じない

 

本気で生きてるやつなんかいたら 俺はお目にかかりたい

本音で生きるってことは 死んじゃうってことだよ」

 

 

 

さてさて

 

かれら三人にも「気分」みたいな

自然にうまれた「ルール」があって

 

 

気持ちにできるだけ素直であること

 

嫌なこと、ムリなことをしない

相手にも強制やソクバクをしない

 

そうして

ながれるままに「自由」を消費していると

 

 

なんとなく空気がうすくなる

 

 

だんだん

すこしずつ

 

 

苦しくなっていく

 

自由が重くなり

しらずに胸につもり

 

突然迎えるラストシーン

 

関係がこわれて終わるのかと思ったら

主人公はそれを乗り越えようとする

 

 

これにはやられました。

 

映画がぷつんと終わり

タイトルバックが流れだしたとき

一番端に座っていたおじさんが小さく拍手をしました。

 

 

ながながと読んでいただいて

ありがとうございます。

なんとなく気になった方はぜひご覧ください。

 

近年の収穫だと思います。

 

主役の三人がとても良いです。

 

 

それと、萩原聖人が、バイト先の店長として出ていて

たったひとり、言い訳もせずに「大人」を引き受けています。

 

すこし腹の出たその体形とあいまって、

あの「萩原聖人」が!

と、ちょっと涙物でした。

 

 

 

ではまた